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2008.10.17

■伝説のTHAMBAR・・・

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このレンズもやはり古のライツらしい写りです。ベールをまといながら繊細にシャープに被写体を写しこむ。基本はソフトレンズですがまるで球面ズミルクスのご先祖さまのよう。

いつも思いますが、こういうレンズは今作ろうとしても作れませんね。デジタル時代の今、フォトショップを使えば簡単に似たような絵は作れますが・・・それでも単に似た絵でしかないです。

やはり写真はオンサイトでの瞬間を思い入れのあるレンズでこう撮ろう・・・と思うのが自然。さぞかしフイルム時代には試行錯誤を繰り返し、このレンズをマスターしていったのだろうと先人たちの苦労に思いを馳せながら・・・

絞りによって豹変するこのレンズはもしかしたらデジタル時代に合っているのかもしれませんね。滲む絵をチェックしながら絵筆を使い分けるように絞りを決めて目の前の光景を写し撮る。

そう、まるで絵画を描くような感覚。光の具合によっては水彩画にも油絵にもなる。70年以上前に生まれたレンズがそういうお作法が合っているというのもなんとも不思議ですが・・・。

こういうレンズはライカレンズの中でも稀有のレンズ。やはりレンズは使ってみなければ分らないし、実際に撮って、その絵を目に焼付け、記憶の中に蓄積することがどれだけ肥やしになるか・・・。

昔のライカレンズにはデジタル時代の今でも常に新鮮な出会いがあります。「THAMBAR」これこそ最後に逝きつくレンズかもしれませんね。

ということで・・・

この伝説のレンズをもって-Photographer's eye-はサヨナラです。本当にたくさんのアクセスありがとうございました。このブログもこのまま残しておきます。みなさんとの大切な思い出ですから。

また、違った形でお会いできると思います。それまで、しばしのお休み・・・

LEICA M8 / THAMBAR 90mm f2.2

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2008.10.13

■タンバールのお作法

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本日はタブレットで有名なワコムの新設されたコミュニケーションスペースの撮影に新宿へ。

とある高層ビル21階からの望めはそれは素晴らしく、短い撮影待ちの間、眼下に広がる光景に思わず・・・斜光を浴びた新宿の街をこのレンズで撮ると幻想的なジオラマのよう。

アオリ効果っぽくも見えるし、面白いレンズです。滲みの度合いを意図的にコントロールできるレンズってやはり摩訶不思議なレンズです。タンバールという響きもなんか、ね。怪しい感じもするし・・・

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ところで・・・

タンバールの絵ですが素の絵もいいのですが大昔のレンズですから、若干イエロー被りがあります。それを少しだけ除き、WBを整え、明るさをコントロールし、最後にほんの少しシャープネスをかけています。

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そうするとスッキリとした色合い、淡い滲みとともにレンズ本来のシャープネスが浮かび上がってきます。今のところこのお作法がお気に入りです。

撮影方法、現像時のお作法次第で絵が劇的に変わるレンズですねえ。

LEICA M8 / THAMBAR 90mm f2.2

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■New legend

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この玉はヘクトールと並んでかつての著名写真家のポートレイトで有名なレンズ。

当時はバルナックでモノクロフイルム。半世紀後の今はM8でデジタル。ホント隔世の感だが変わらないのはレンズの素性だけ。不思議というか言葉が見つからないというか・・・

いつも思うのはこういう世界はライカレンズだけかもしれない。今までもそうだったようにデジタル時代にも新たなライカ伝説は続くのかもしれない。

ローパスレスで解像感バツグンのM8とタンバールやヘクトールといった柔らかい昔のレンズとの組み合わせは一度味わってしまうともう戻れない禁断の世界だ。

M8の画像を見るたびにこれらのユルイと言われてきたレンズが実はその奥底に秀逸な素性を持っていたことを思い知らされる。もちろん現代のレンズとの組み合わせも息を呑むことがあるが・・・

そのどちらも忠実に再現するM8はダメダメな点も多々あるが凄いカメラなのかもしれない。この12月で発売されて2年が経とうとしているデジタルカメラで今でも再発見できるなんてそうあるもんじゃない。

それもこれも膨大なレンズ資産が残っているからに他ならない。近々発売されるニューレンズ群もその超高価格が話題を呼んでいるが・・・この後に続くであろうNew legendを考えると決してお高くはないのかもしれない。

かつてのライカは家一軒伝説?に比べれば・・・(笑)

LEICA M8 / THAMBAR 90mm f2.2

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2008.10.12

■イカニモ、タンバール

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昨夜はその筋には有名らしい?渋谷キャメロットでちょいとお仕事。こういう暗がりではど~なんだろ?と試しに何カットか。かなり厳しかった。さらに帰り道に少しだけ。

光源をモロに入れると厳しいけれど、光の当たり具合でいかにもタンバールの世界。なかなか手強くていい感じ。滲むアップルもそう見れないかも・・・(笑)

景気厳しい折、写真だけは右肩上がり?やっぱりマウスとシャッター過多のおかげでカラダの右側が変なのかも?右上りの写真やたら多いなあ。

で、この1枚もイカニモ、タンバール。う~ん深い・・・

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■ソコイラアタリデ、タンバール

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そこいらあたりでタンバール・・・ってパクりですね。(笑)

テキトーにソフト感が残る感じで撮って少し締めるのもいいですね。モノクロ時代のレンズですがカラーでも好ましい。デジタルのお作法が加わるとフイルムとは違った絵にもなるようです。

1本の中に数え切れない絵筆を秘めてる?色っぽいレンズですねえ。こりゃあ使い甲斐があるぞ~。

LEICA M8 / THAMBAR 90mm f2.2

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■プリントという指標

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一昨日、アンセル・アダムス展で購入したファインプリント2点が手元へ送られてきた。何度見てもやはり素晴らしい作品だ。モノクロームプリントとしてひとつの指標と言える。

ところで・・・

現在の業務はデジタル100%。ゆえに入力から出力まですべて一人で処理している。レタッチャー的なアシスタントは使わない。デジタルだからこそすべてを自身一人の目と感性でフィニッシュすることができるし、そこに意味があると考えている。

特に最終納品が「プリント」の場合。目の前で直接クライアントに評価される。そこに曖昧さなどない。私は以前、空間系のデザイナーを20年間勤め、その後、デジタルフォトの世界へと転向した。

その空間系写真の世界でナカサアンドパートナーズという写真家集団がある。日本の商業空間系写真においてナンバーワンのクオリティと言っていい集団だ。今は法人化され、立派な会社組織になっている。

10数年前、まだ法人化される以前、デザイナーとして初めてその名を知り、そのナカサの当時のチーフカメラマン・奥村浩司氏に出会い、私がディレクションやデザインしたものも含めて多くの空間を撮っていただいた。

そのとき、彼の実に丁寧に仕上げられたカラープリントに出会い、そのクオリティの高さに驚くとともにこういう世界もあるのか?と感銘を受けたことを今でも記憶している。

彼は当時、専属のプリンター(機械ではなく、プリント職人)を持ち、彼の写真の傾向を熟知したプリンターの手によるプリントは日本はもとよりおそらく世界中のどこへ出しても恥ずかしくないクオリティのものだった。

その後、奥村氏はナカサから独立し、現在も各方面で大活躍されている。奥村氏と一緒に仕事をした数年間、彼のオリジナルプリントに直接触れた経験が今の私の大きな指標になっている。

今、私がどこへ出しても恥ずかしくない「プリント」。そう自信を持ってクライアントの前に出せるのも彼のオリジナルプリントをこの目の奥底に焼き付けてきたからこそだ。歳は少し下だが今でも「師」として感謝している。

ウェブ時代に写真を見るという行為は好むと好まざるとに関わらず多岐に渡る。しかし、写真クオリティということについては今ほど指標が曖昧な時代もない。

自身の体験からだがやはり写真のクオリティの指標はプリントにあると思う。手元にアンセル・アダムスのプリントが届き、改めてその思いが強くなる。

こう書いて、私的なプリントをほとんどしていないことがなんとなく後ろめたい。仕事では山ほどプリントしているのに・・・言うは易しである。(笑)

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2008.10.07

■大人のカメラ

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後輩とフジヤカメラへ行った帰り道。新宿のキヤノンからエプサイト、その後、後輩と分かれて銀座のライカジャパンへ。

途中でお茶しながらカメラ話を色々と・・・

後輩はニュー5Dを気に入っていたが実際に触るのが2度目のアタシは・・・う~ん、どうもスカッとしない。最初に銀座で触った時ほどのトキメキがない。こんなんだったかなあ?平日で空いていて冷静に比べられたせいもあるが何か物足りない・・・

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2008.10.03

■普通の出会い

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緩やかでゆったりとした空気が流れていた。

高尚なテーマや小難しい作品性などとは縁遠い世界。普段着で散歩しながら、ゆっくりと「普通の出会い」を写しこんでいく瞬間が柔らかいトーンの中にたくさんおさめられていた。

おそらくこのカメラと彼女のテンポやリズムが合っているのだろう。すこしだけお話ができたら・・・とタイミングを見ていたが、ひっきりなしに訪れる来場者の質問に楽しそうに受け答えしている姿が印象的だった。

このスローなカメラはどうですか?とか、撮影方法は?とか、何を使ってプリントを?とか・・・同じような質問ばかりなのだろうなあ・・・と思い、違う質問を用意していたが・・・。

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今まで面識はなかったが会場に入った瞬間にほんの一瞬だけ目が合い、私が作品を拝見している間、彼女の視線をちょっぴり感じつつ、その後の来場者の応対でタイミングが合わず結局、お話せずに会場を後にした。

私はこのカメラの潜在能力を引き出せているのかな?と自問自答しつつ・・でもそんなことは重要なことでないなあ・・と感じながら過去に撮ったカットをぼんやり眺めている。

カメラという道具はこころもち次第で見えてくるものが人それぞれだ。相変わらずDP-1というカメラは面白くも気難しいカメラだ・・・いやそういうふうに構えて考えてはいけないカメラでもあることをhanaさんの写真展で教えられた気がする。

hana写真展 SO-CO-i-ra ~ソコイラアタリ~

colors@cloud
SIGMA DP1

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