■私的カメラオブザイヤー2007

今年１年、様々なカメラでたくさんのモノを撮らせていただいた。そんな中でもやっぱり人を撮ることの難しさと楽しさを実感した１年だった。

人を撮るということは翻ってみると自分自身が写るとも言えるわけで・・・その人との関係性やその場の空気、そしてなによりその人のこころの動きが写る。

仕事での撮影は一眼レフがほとんどだが、その場の空気を大切にしたいときは機材の選択もそれに見合った選択をしたい。今年はこのカメラを積極的に使ってみた。

正直、当初は仕事でこれほど使えるとは思ってもみなかった。が・・・その場の空気感や距離感がやはりいい。

撮る側と撮られる側の間に独特の空気感を生む。このカメラとの出会いとこれを使って撮った人物写真は新たな発見とここちよい刺激を与えてくれた。

たいていの場合、このカメラって仕事で使えるんですか？と聞かれる。そんなときは「このカメラで撮れないモノは山ほどあるんですけどね・・でもこのカメラでしか撮れないモノもあるんですよ」と。

2003年から大晦日に私的かつ勝手に行っているカメラオブザイヤー。その年に購入したものという厳格なものではないけれど1年間使って私が一番良かった！と感じたカメラ・・・。

「LEICA M8」

半世紀の歴史を背景に禁断のデジタル技で多くの罪なき人を沼に引き込む魔力を持ち・・・
このデジタルカメラが作り出す画を理解するためにいくつかのハードルをクリアしなければならない敷居の高さがあり・・・
さらにその本質を見抜くために撮影者には高いスキルを要求し、なおかつ撮影者のレベルによって見えてくる世界が違うという気難しさを持つ。

道具というものは基本的にはそういった傾向がありがちだが・・・。
撮影者にこんなにも面倒なことを突きつけてくるデジタルカメラいやカメラが今まであっただろうか？

リリース当初から、いや今でもいくつかの問題を内包しつつ、この見てはいけない？ある種異次元の世界を経験したものにはそれらをことさら問題と感じさせないカメラ。

異次元というのは少々大げさかもしれないが沼に潜む様々な銘玉・迷玉が写し出す世界はまさしくめくるめく異次元の世界。次から次へと誘い込む終わりなきエンドレスな世界。それでもその世界を彷徨うことの心地よさ・・・。

そして何より数値などでは表せないカメラとしての存在感とフィーリング。日本製ならば大騒ぎになるほどの問題点もある種の悟りを開いたオトナ？のユーザーたちはいちいち目くじらを立てるようなことはない。

こんなカメラは私の知る限り見たことがない。

純粋に画質の優劣やプロダクトとしての優劣、デザイン・操作性の優劣などなど・・・カメラを評価するモノサシはある。が、その水平線上には乗らない稀有のカメラ。

今年のカメラオブザイヤーはコレしかないです。私にとっては・・・。

SUMMILUX-M 35mmf1.4 ASPHERICAL / SUMMILUX-M 50mmf1.4 ASPH. LHSA
<ポートレイトにはこのコンビが良かった。これにSUMMICRON-M 90も加わる。Body&Lensの組み合わせは逆色。ジンクスみたいなもの？・・・>

M8というカメラ、デジタルカメラの写真画質とは？という奥深い世界をあらためて垣間見させてくれたカメラ。そしてこのカメラを通じて様々な方たちとお知り合いになれた。

ついでに言えばこれだけ財政面を圧迫してくれたカメラもなかった。常に傍らにあって今では空気のような存在にすらなったカメラ。M型ライカのデジタルカメラもやはりM型ライカだった。

シルバークロームとブラッククロームのM8は来年も私の写欲や物欲を刺激し続けてくれる存在であることは間違いない。これは良くもあり悪くもあるのだけれど・・（苦笑）

ちなみに・・・
2003年はCANON EOS-1Ds
2004年はEPSON R-D1
2005年はRICOH GR DIGITAL
2006年はCANON EOS-5D

でした。それではみなさん良いお年を！

あっとそれから・・・こんな戯言ばかりのブログにたくさん方々から身に余る多くのアクセスをいただき本当にありがとうございました。