■ワイドマチエール

LEICA M8 with Distagon T*18mmf4 ZM @金沢武家屋敷跡

金沢では撮影ウエイティングの時間が中途半端だったことと、まるで真夏が戻ってきたような暑さのため、ホテルのすぐ近くしか行動する気にならなかった。

なにしろ夜中に撮影が控えていたので熱中症にでもなったら、元も子もない。最寄の尾山神社や武家屋敷跡へ行ってみることにした。

ここも観光地化していることもあってなかなか期待していた風情のところは少なかったがそれでもそれらしい雰囲気の場所はいくつか・・。

LEICA M8 with Distagon T*18mmf4 ZM @金沢武家屋敷跡

金沢に住んでいる方にはごく当たり前の光景なんだろうけれど・・旅人にとっては見知らぬ土地。見るものすべてに反応してしまう。

ところでこのレンズはM8換算、約24mm。たとえば28mmと24mm、差はたった4mmだがワイドで4mmの差はパースペクティブが別物。

良くも悪くもいきなりワイドらしさが前面に出てくる。28mmあたりとはお作法が違ってくる。そのワイドらしさが使っていて気持ちがいい。

LEICA M8 with Distagon T*18mmf4 ZM @金沢武家屋敷跡

体と感覚のフットワークをフルに使うとまったく違ったバリエーションの絵になる。これこそワイドの魅力。優れたワイドレンズは質感を実物以上にリアルに写し取る。

広い画面内に緻密にリアルに情報が詰まっている感がどれだけ迫ってくるかがワイドレンズの素性の良し悪しになる。どちらかと言うと階調が重要な要素となる標準系とはまた違ったモノサシがある。

このDistagonは対称形の代表Biogonに迫る素性の良さがある。ほとんど感じられないディストーションと凝視してもまだ見きれないほどの緻密感はかつてのGシリーズBiogonを彷彿とさせる。

LEICA M8 with Distagon T*18mmf4 ZM @金沢尾山神社

シーンによっては僅かに周辺落ちもあり、M8との相性もいい。このレンズの凄さはウェブ上のこのサイズでは伝わらないもどかしさがある。残念・・。

この一風変わった尾山神社の楼閣をオリジナルサイズで見てもらいたいくらいだ。上に行くにしたがって細くなる尖塔の描写や楼閣自体の質感の違いを見事に描ききった描写力はそれはそれはカンドーの一言・・。

M8ではワイドらしいワイドを初めて使ったがローパス無しの解像感はこのくらいのワイドで実感する。このレンズはライカとは違ったある種の生真面目さを感じる。さすがツァイスと言うべきか・・・。