2011.08.02

◇ SNAPS 東京展

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「イタリアの冬の街並みとそこに暮らす人々が生き生きと浮かび上がってくる・・・」

「ケニアに生きる動物たちと雄大な風景がドラマチックな光とともに迫ってくる・・・」

今年の一月に金沢で開催されたSNAPSが昨日から東京・新宿のINSTANCEで始まった。

お二人とはブログを通じて知り合い、何度か金沢にも伺い懇意にさせていただき、金沢展に伺った折、東京でもぜひ開催を!と言っていたことが思いの外早く実現した。

金沢の写真展ではサイズも展示手法も大空間に合わせてダイナミックに構成されていたが、今回の展示はITALIA、KENYAともシンプルに再構成されている。

金沢のときと違うのは額装された作品。薄いガラスを通して観る作品はまた違った味わいを感じる。プリントの仕上げも若干変更されたとのこと。新たな作品もプラスされ、さらに見ごたえのある写真展になった。

今回の会場の距離感とガラス越しの作品群は会場照明と相まって少し抑えられたそこはかとないウエット感を感じる。金沢展とは違った魅力を醸し出している。

作品を見ているとデジタル時代でもライカでスナップ!は死語ではない。地球上のどこでも素晴らしいシーンに出会える予感を感じさせてくれるカメラだということを再認識させてくれる。

そして金沢の時も感じたことだが別の場所を別の時間にスナップしたにも関わらずなぜか同じトーンを感じる。今回は会場構成をイタリアとケニヤで別会場にし、照明演出やアプローチ等も変えたらしいがやはり同じトーンを感じる。

北陸に生まれ育ったお二人がM9、X1というスナップの王道カメラを通してそれぞれが感じるシーンに共通の何かがある気がしてならない・・・

M9とイタリア、X1とケニヤ。それぞれの地でカメラの魅力を十分に活かした作品群。M9、X1ユーザーの方々にとっては必見の写真展だ。


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高橋氏(左)、水野氏(右) INSTANCEにて

「SNAPS 高橋俊充×水野直樹 写真展」8月14日まで。

1月の写真展の模様はこちら→「SNAPS 金沢展」


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2011.01.19

◇ SNAPS 高橋俊充×水野直樹 写真展

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11日から開催されていたSNAPS。ぜひ伺いたいと思っていたが仕事の都合がなかなかつかず、しかし見た方や高橋さんのブログでの様子を見るにつけどうしても見たい!という思いが治まらず最終日に伺うことに。

会場は先週末、記録的な降雪となった北陸・金沢。天候情報に右往左往しながらも高橋さんのアドバイスでJRがやはり安全と決め、自分としては珍しく電車移動に決めて当日を迎えた。

ところが当日朝、新幹線がシステムトラブルで全線止まるというハプニングで急遽、車での移動に変更、途中、吹雪の妙高高原、日本海から吹く冬の強風をモノともせず?最終日の終了2時間前ギリギリの滑り込みで会場に入った。

会場は金沢市民芸術村のPIT5。アート全般のための施設として市が紡績工場をリニューアルした素晴らしい環境の中、倉庫風のアーティスティックな空間に作品がバランスよくかつダイナミックに配置され、イタリアとケニヤの空気感が会場一杯に漂っていた。

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まず初めに感じたこと。何の脈絡もない全く違う場所で撮られたそれぞれの作品のトーンがなぜか揃っている。諧調と云う意味ではなく作品の底辺に流れるトーンが。

それはおそらく、そこにある「生あるモノ」の生き生きとした瞬間を絶妙な光で捉え、見事に主役に納めつつ、その土地の空気感をも同時に写し込める撮影者としての力量。

どちらの作品もそのほとんどがLEICA M9とX1で撮られている。これも珍しいかもしれない。ライカらしいトーン・・・と言えば安直でらしい表現だがこれはまさしくお二人のイメージクリエイションの賜物。

イタリアとケニヤの光景が渋めの落ち着いたトーンでプリントされ、アンジュレーションのある会場がB0サイズには程良い鑑賞距離と視線の変化を作り、よりリアルに観る者に迫ってくる。

その合間に額装された作品や手に取れるプリントが良いリズムを作っている。この大空間に確信犯的にB0をメインにした展示にチャレンジしたお二人の作品を見せるプロフェッショナルマインドは素晴らしい。

また、撮影からプリントまでフルデジタルでここまでの空気感とクオリティが可能だということ。これこそがデジタル時代の表現者としてのクリエイターの真骨頂。同じクリエイターとしてこのこともうれしく感じた。

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イケメンの高橋さん(右)と水野さん(左)。金沢のクリエイターはカッコよいのだ・・・

作品のほとんどは高橋さんがM9にSummilux35mm ASPH.、水野さんがX1のElmarit24mm。

ほぼ同じ35mmの画角で撮られたイタリアとケニヤの作品を見比べてみると土地それぞれのスケール感や奥行き感は当然異なるが一瞬の光を捉えた光景から受ける感動は地球上どこでも同じなんだな。と。

そう考えると今回の「SNAPS」というタイトルは地球規模のスナップをこの大空間で大判のB0サイズで展示するというとても大きなスケールの試みだったこと。遠い金沢まで足を運んだ甲斐があったと感じた。

このSNAPS。これと同じ規模の写真展を開催できる場所の問題はあるにせよ、もし東京で開催されてもかなり注目を浴びた写真展だったことは間違いない。


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2010.04.28

◇ 美とクリエイション

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LEICA M9 / Noctilux 50mm f1.0

美。たった一言でも受け止め方は十人十色。

写真作品においても作家がどんなに美しいと考えても見た人が美を感じなければそれはただの一枚の写真。心が震えるか?これが自分にとっての美のモノサシです。

一昨日、銀座で拝見した作品には残念ながら心は震えませんでした。国内はもちろん海外でも高い評価を受けている若手写真家。世評が良いとそれに影響されて良いと思わなければ的なことは主義ではありません。

伝え聞くと、素晴らしい!という評価や理解できない?という評価など様々。それで良いのだと思います。すべての人が素晴らしい!などという評価は滅多にありません。

しかし、彼の作品に向かう姿勢は大いに共感を覚えました。特にデジタルカメラの進化を天から降ってくる的な表現を用い、新しいツールに対するそのどん欲な姿勢は非常に共感を覚えました。

私もデジタルカメラの進化は表現の進化と捉えています。写真表現においてデジタルも銀塩も変わりはないですが、クリエイティブな表現の幅や自由度はデジタルは銀塩の比ではないことは言うまでもありません。

すべてのワークフローでイメージングとハンドリングがリンクしていることがデジタルの革新であり核心。その若手写真家も撮影前にすでにプリント表現をイメージして撮影に臨んでいるとのこと。それこそが現代の写真におけるトータルなクリエイションだと思います。

今は彼の作品にはこころが動かずともクリエイションの過程には大いに共感を覚えました。いつの日か彼の作品に激しくこころ動かされる日を期待したいと思います。その日はそう遠くないかもしれません。


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2010.04.25

◇ 「白い夜」トークショー

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LEICA M9 / Noctilux 50mm f1.0

飯塚達央氏の写真展へ伺いました。

今日は遅れて行ってトークショーしか聞くことができなかったので飯塚氏の作品については会期中にまた伺う予定なので出来れば改めて・・・

飯塚氏のトークショー。

実はあまり期待せず?に伺ったのですがなかなかの役者ぶりでした。期待せずに。というのは以前より、北海道へ移住した頃のこと、写真家になった頃のこと、草原写真館のことなど本人からすでに聞いていたので・・・

ところで、こういうことを自ら積極的に企画する写真家はそう多くないと思います。普通は初日に挨拶代わりにトークショーを企画することはよくありますが3日間続けてというのはあまり聞きません。

これを彼の逞しい商魂と見るか少しでも知ってもらいたいというピュアな気持ちと見るか?

実は彼はベタベタの関西人。美しい北海道の写真をブログなどで見るとまったく違うキャラクターをイメージしがちなのですが親しみやすくサービス精神旺盛でしかしちょっぴりナイーブな好青年?です。

私より一回りだけ歳下なので青年という表現はちと苦しいかと思いますが、まあ実際に本人に会い、少しでも話をすればご理解いただけるかと。

彼の写真家としてのここまでの歩みをスライドとBGMを交えて改めて聞くとまた新たな飯塚達央像が浮き彫りになり、なかなか良い企画であったと感じました。

ただ、イベント等の演出に関しては仕事柄厳しい目になるのでテンポや段取りはもう少しスマートでスムーズならばより良かったのですが、まあ、来場者にはこれも飯塚氏のキャラクターと映ったようですが・・・(笑)

また、本人曰く、ウェブ時代の写真家として自分は幸運であると。ブログやツイッターで知り合った方々にたくさん来場していただき、それは大きなことだと。

三日間連続で本人はヘトヘト状態のようでしたが、残りの開催中、続けられるなら続けてほしい良い企画でした。写真家が生で自らを語ることはウェブ時代だからこそ重要なことかもしれません。

それから余談ですが・・・BGM「白い夜」と「標(しるべ)」。作品とも相まってとても美しい曲で胸に迫るものがありました。帰宅して改めて聞いてみたい余韻が残っています。

写真展「白い夜」は無休で5月9日まで

この写真・・・暗いスライドショーの最中に撮ったのでピントや表情がまったくのヤマカン。ちょっとキツイ表情かな?ご本人はもっと柔らかいお方です。念のため。


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2010.01.27

◇ 心地よい予感

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LEICA M9 / Summilux 35mm f1.4

昨日、北井一夫さんの写真展「Walking with Leica 2」へ。

冬の午後の光が柔らかく射し込むエントランスを入り、すぐに目に飛び込んでくる「ゆず」と「りんご」。大きなテーブルに置かれたオリジナルプリントと展示作品とを交互に拝見しながら穏やかな空気感が漂う。

作家が作家自身のそれまでの作品を越えながら、次のステップへと移行するとき、なにがしかの賛否が起こることは世の常。

北井一夫という写真家がそれまでの作品を踏まえながら、自身の中で何かの変化が起こり、ご自分の中でそれを楽しみながら作品を紡ぎ出しておられる。

過去の作品を踏まえて今回の作品をただ見れば賛否両論が起こるのもうなづける。作家がリアルタイムで変化を起こし、次のステップへと進化する。それがとても楽しみな進化である予感。

幸か不幸か今までの作品をリアルタイムで触れてこなかった私。それが今、作家の作風の変遷を逆にたどる・・・というか現在の作品へ至る道程を見渡せる感覚?

今回の展示作品はアーティスティックでピュアで美しい作品群。「Walking with Leica 2」の作品の中でもこれらをあえてセレクトして展示された北井さんの意図は?

そんなことを感じ、考えながらボヤ~と作品を見つめていると心地よい空気感が生れてくる。これからどんな素敵な北井作品に出会えるのかという予感めいたものでこころが穏やかになる。

一緒に行った連れが「一個、二個、三個、どれがいいかな?」と唐突に質問することに微笑みながら考える瞬間も楽しく感じるひととき・・・

ということで酷評されていたらしい?写真展でしたがちょいとヘソ曲がりで北井作品初心者。でも美しいものは理屈ぬきにリスペクトしてしまう?私にはとても印象的で素敵な写真展でした。


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2010.01.25

◇ 酷評と絶賛

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LEICA M9 / Summilux 50mm f1.4

酷評されているらしい・・・写真展があります。北井一夫さんの「Walking with Leica 2」

冬青社の高橋社長のブログで今回の北井さんの作品が酷評されていると書かれていました。そのことを知ったのはワタナベサトルさんの日記。

その写真展へ少しだけ存じ上げているアートディレクターの菊地さんが行かれ、絶賛されました。菊地さんはグラフィックデザインの世界でご活躍されていて、仕事柄、様々な写真家の作品を見られている方。

その方が絶賛されていることもなかなか興味がそそられます。絶賛と酷評。作家にとってこれほどシアワセなことはないですね。

中途半端な意見ほど役に立たないことはありませんから。特に当たり障りのない適当な褒め言葉が一番イケマセン。でもそれがヒトの一般的行動だったりします。

それに高橋社長の商売上手。ワタナベさんも書かれていましたが、酷評と書かれれば関心が沸かないわけがありません。特に私のようなへそ曲がりの人間にとっては・・・

個人的には北井さんの写真集で「フナバシストーリー」という作品に関心が・・・今、私が住んでいるのが市川で船橋とは隣街。

船橋という街は私の記憶の中にも色々と思い出がある街。しかも北井さんが撮られた80年代はその時々でリアルタイムで見ていた街。個人的には惹かれる言葉「フナバシ」です。

北井さんのファンからは何を今更?でしょうが関心が沸かなかったので仕方ありません。ご勘弁を。まったく別の世界でも「写真」というものに触れている人間もいるのです。

ただ、今も昔も写真家や作品に特別思い込みがない分、一旦、関心が沸くと猛烈に知りたくなる性があります。おかげで早速、アマゾンで「80年代フナバシストーリー」「ドイツ表現派1920年代の旅」「Walking with Leica 1」の三冊を注文してしまいました。

そして「Walking with Leica 2」も手にするのでしょう。きっと・・・まんまと高橋社長のワナに嵌っています。それもヨシとしたい気持ちもあります。人間、いくつになってもこころが動くことが大切です。時期の早い遅いは関係ありません。

今週、時間を作ってぜひ中野のギャラリー冬青へ行きたいと思っています。さて、どんな出逢いがあるのでしょうか?楽しみです。


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2009.09.22

◇ 空気感

こういう写真を空気感。というのだろうな。

大きさはそれぞれ違っているものの6×6で撮られたカラープリントからはどれも撮影者が観た光景とプリントに込められた空気感が確かに感じられた。

どれも女性らしい視点。と言ったら、それは失礼なのかもしれないが別にバカにしているわけではなく、オトコから観てやはりそれは会場全体からも感じられた。月並みな言葉では表現しきれないなにかが・・

すべてがフイルムによって撮影された空気感、それがたとえデジタル出力のものでもそれは感じられた。撮影者の感じたこと、思いがきちんと表現されていた。

しかし、とことん突き詰めるという事に関しては女性にはオトコドモは適わないときがある。それぞれ、ご自分の表現のため、自分でカラープリントをしたり、普段は立ち入れない場所でしっかりとその場の空気感を捉えたり・・・

そしてウェブでは拝見していたけれどやはり一番気になっていた作品たち。日常の中の何気ない光景をそのご家族の微妙な関係性までもが映し出されたカラープリント。

ご本人はデジタル出力だから・・・とおっしゃっていたが、私には確かに感じられた。なかなかこうは表現できないし、こういう場面ではシャッターは押せないと思う。すくなくとも私には・・・特に光の捉え方が絶妙。

個人的な理由もあるが・・・詰まされるほどの1枚もあってプリントでもそれは変わりはなかった。

日々、学ぶことは多い。今日は良い作品を見せていただいた。

ギャラリールデコで27日にまで。「6x6sisters グループ展」「メンバーブログ」

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