
11日から開催されていたSNAPS。ぜひ伺いたいと思っていたが仕事の都合がなかなかつかず、しかし見た方や高橋さんのブログでの様子を見るにつけどうしても見たい!という思いが治まらず最終日に伺うことに。
会場は先週末、記録的な降雪となった北陸・金沢。天候情報に右往左往しながらも高橋さんのアドバイスでJRがやはり安全と決め、自分としては珍しく電車移動に決めて当日を迎えた。
ところが当日朝、新幹線がシステムトラブルで全線止まるというハプニングで急遽、車での移動に変更、途中、吹雪の妙高高原、日本海から吹く冬の強風をモノともせず?最終日の終了2時間前ギリギリの滑り込みで会場に入った。
会場は金沢市民芸術村のPIT5。アート全般のための施設として市が紡績工場をリニューアルした素晴らしい環境の中、倉庫風のアーティスティックな空間に作品がバランスよくかつダイナミックに配置され、イタリアとケニヤの空気感が会場一杯に漂っていた。

まず初めに感じたこと。何の脈絡もない全く違う場所で撮られたそれぞれの作品のトーンがなぜか揃っている。諧調と云う意味ではなく作品の底辺に流れるトーンが。
それはおそらく、そこにある「生あるモノ」の生き生きとした瞬間を絶妙な光で捉え、見事に主役に納めつつ、その土地の空気感をも同時に写し込める撮影者としての力量。
どちらの作品もそのほとんどがLEICA M9とX1で撮られている。これも珍しいかもしれない。ライカらしいトーン・・・と言えば安直でらしい表現だがこれはまさしくお二人のイメージクリエイションの賜物。
イタリアとケニヤの光景が渋めの落ち着いたトーンでプリントされ、アンジュレーションのある会場がB0サイズには程良い鑑賞距離と視線の変化を作り、よりリアルに観る者に迫ってくる。
その合間に額装された作品や手に取れるプリントが良いリズムを作っている。この大空間に確信犯的にB0をメインにした展示にチャレンジしたお二人の作品を見せるプロフェッショナルマインドは素晴らしい。
また、撮影からプリントまでフルデジタルでここまでの空気感とクオリティが可能だということ。これこそがデジタル時代の表現者としてのクリエイターの真骨頂。同じクリエイターとしてこのこともうれしく感じた。

イケメンの高橋さん(右)と水野さん(左)。金沢のクリエイターはカッコよいのだ・・・
作品のほとんどは高橋さんがM9にSummilux35mm ASPH.、水野さんがX1のElmarit24mm。
ほぼ同じ35mmの画角で撮られたイタリアとケニヤの作品を見比べてみると土地それぞれのスケール感や奥行き感は当然異なるが一瞬の光を捉えた光景から受ける感動は地球上どこでも同じなんだな。と。
そう考えると今回の「SNAPS」というタイトルは地球規模のスナップをこの大空間で大判のB0サイズで展示するというとても大きなスケールの試みだったこと。遠い金沢まで足を運んだ甲斐があったと感じた。
このSNAPS。これと同じ規模の写真展を開催できる場所の問題はあるにせよ、もし東京で開催されてもかなり注目を浴びた写真展だったことは間違いない。
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