◇ 長く生きること
LEICA X1
しばらくブログ更新をしなかった。いや出来なかった。
自分の身の回りのこと。施設にいる母親のこと。生業にしている写真のこと。そして趣味としての写真のこと。様々なことがあまりしっくりせず、ブログに向かう気にならず、まして写真なんてアップする気など・・・
先月末、施設に居る89歳の母親が脳梗塞で緊急入院した。20年以上前に脳内出血で倒れ左半身が不自由な人生になり、今回また脳梗塞で右足まで不自由になってしまった。
右手はかろうじて動いているがそれを不幸中の幸いと考えるべきか?右手しか自由が利かなくなってしまったと考えるべきか?もともと高齢の為、耳は遠く、歯も全てなく、目も白内障・・・
正直、今の母親を見ているのが辛い。右手一本しか自由が利かず、寝たきり寸前の母親。それでも施設を訪ねれば「ありがとう」という言葉が出る。
こんなになってまで、まだ息子に負担をかけていることを気遣っている。いっそのこと母親自身がまったく分からなくなってしまってくれた方が楽なのか?
私が帰った後、一人になった部屋ではおそらく自分の状況を悲しんで涙を流し、長く帰っていない自宅に戻りたいと心の奥底で叫んでいることも想像できる。それも辛い。
人はこんなになってまでしても生きなければならないのか?人は生かされているという考え方には賛同するが今の母親は一体何に生かされているのか?
人の生への尊厳とはなんだろう?母親の居る施設で何度となく見た光景は・・・誰も居ない部屋で早くお迎えが来て欲しいと手を合わせて必死に祈る寝たきりの女性の姿。
施設に居る老人たちはそれほどボケた人たちばかりではない。自分の人生の最後が一日も早く来ることを祈っている人が少なくないことも母親から何度となく聞いた。いたたまれなくなる。
長く生きることが不幸にならない世の中は未来永劫来ないのか?
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Comments
はじめまして。
古いブログの頃から、ライツのレンズのことなどとても参考にさせて頂いておりました。
私の祖母も同じように障害を抱えて施設に入っています。僭越ながら、全く同じようなことを感じていて、やはりつらい気持ちがあります。
脳梗塞を患ったことを、罰を受けたんだと話していたことがあり、そんなふうに考えるのかととてもショックを受けました。私は医療に関わる仕事をしていますが、本当に複雑な心境です。
Posted by: NeoN | 2010.10.28 22:24
>NeoNさん
はじめまして。
拙ブログにご訪問いただきありがとうございます。
こういう心情は直接関わったものにしか分からない辛いものですね。
長生きさせてしまう現代の医療技術に疑問を感じることすらあります。
医療もそうですが・・・
この国の介護・老人問題はこれからますます悲惨なことになるような予感がします。
Posted by: Ita | 2010.10.30 14:43