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2005.11.20

見えないことの大切さ

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Zeiss Ikon with Carl Zeiss Biogon T*25mmF2.8ZM
E100VS & EPSON F-3200

レンジファインダーカメラはそのほとんどが不便で面倒くさくて手間のかかるカメラばかりです。ファインダーの範囲はアバウトだし、レンズは単焦点ばかりだし、フイルムは巻き上げたり巻き戻したり、オートマティックな世の中とは対極にあります。

しかし、ワタクシ的には魅力一杯でメロメロです。一眼デジタルがポピュラーになりつつあるこの時代に、なぜでしょう?魅力に関しては色々とあると思いますが、ワタクシがレンジファインダーカメラで、一番に魅力を感じていることは見えないこと?です。

写る範囲を想像する。絞りによる被写界深度を想像する。フイルムによる色カブリを想像する・・・。実際のファインダー内ではこれらの情報は目には見えません。しかし、写るはずのモノを想像することの連続です。

デジタル・アナログを問わず、一眼レフは便利です。仕事などでは一眼レフじゃなければお話になりません。しかし、見えすぎなのです。この見えすぎることがちょっと?なのです。目の前にある事象を正確に写し撮りさえすればいいということになります、極端なことを言えば。

デジタル一眼などは見えすぎた上に今撮ったものが瞬時に見ることができます。仕事などではこれが最高に重宝することなのですが、写真を楽しむということになるとなんだかなあ?という感情がわいてきます。

もちろん一眼レフでなければ撮れないものはたくさんあります。しかし、レンジファインダーで感じる脳内イメージグルングルンや、五感に響くクリエイティブなワクワク感があまり感じられません。カメラと対話しながら、写真を撮るという感覚がありません。

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Zeiss Ikon with Carl Zeiss Biogon T*25mmF2.8ZM
E100VS & EPSON F-3200

おそらく50年前、ブレッソンや、木村伊兵衛さんなどが活躍されていた頃は不便ながらもこの感覚を当然のこととして受け入れ、撮影していたと想像します。

便利すぎるデジタルカメラが全盛の時代だからこそ、レンジファインダーのこの対話しながら五感でクリエイティブな行為をする感覚がたまりません。

そういう意味で今の時代にZeiss Ikonをリリースしてきたコシナとツァイスには拍手を送りたいと思います。しかも、国内の他メーカーから見たら信じられないほど待たせに待たせて発売するなど、ほんとレンジファインダーだから、許せちゃいますが。(苦笑)

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ところでZeiss Ikonを購入して一番使ってみたかったレンズがこのBiogon25mmです。21mmよりは鏡胴が短く、角型フードと丸型フードの両方をチョイスでき、かつ外付けファインダーの感動的な見え、そしてライカにはないツァイス伝統の焦点距離。

ボディの軽さも手伝って軽快なワイドスナップが気持ちよくて最高です。スタイルもライカ系では見られない独特の格好良さで眺めていても、ニヤケっぱなしです。

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コメント

itamuraさん、こんばんは。
お返しというわけではありませんが、
お互い気になるアイテムのお披露目続きで、
物欲倍増です。
最近はデジタルの便利さに甘え、
思えば、現像の仕上がりに一喜一憂していた頃が懐かしいです。
itamuraさんの言葉は、いつも奥深いですね。

やはりZEISS IKON、このBiogon25mmとのバランスがいいですね。

投稿: takahashi | 2005.11.20 23:08

再びおじゃまします。
Zeiss Ikonおいちそうですねぇ~ヨダレでそうです(笑)、こちらは田舎なので、実機にはお目にかかれなさそうです。
発売が延びたのはZEISS側のチェック基準が厳しかったから…などと噂されていますが、真偽はともかくとして、遅れた分だけ初期不良は抑えられそうですね。
Zeiss Ikonの発売は、意外と静かなものですが、これもレンジで銀塩だから仕方ないのでしょうか。
雑誌のアサカメとかもっと騒いでも良さそうなのに、事前に特集し過ぎてネタ切れ?(^^;
それはさておき、利便を追求しながらも、不便の中にも楽しみを見いだす人間の欲求のどん欲さははかりしれませんね~。
私なんかは、利便と不便を兼ね備えたZeiss Ikon D?を待ち望んでる困ったさんです。
なんにしても、今はR-D1の借金を返済しつつ、指をくわえて見てるだけですけどね。

投稿: Helios | 2005.11.21 09:49

>takahashiさん
この秋は近年稀に見る豊作というか、物欲の嵐というか、ほんとにうれしくも辛い秋ですね。(ちっとも辛く見えないと思いますが・・・)

フイルムはデジタルをやればやるほど再発見がありますね。このイコンも昔だったら行かなかったかもしれません。25mmは評判が一番良かったので購入しましたが、久しぶりに広角で感動しました。絶品です。コレ。

>Heliosさん
このイコン、一度触ったらダメですよ。私はいち早く中古フェアで触ったのがいけませんでした。それだけ出来がいいのですよ。ライカを越えたとかなんとかではなくこのカメラ自体に魅力があります。

ほんとうに人間の性というか、不便なのにその不便さが快感になるなんて・・・。でもR-D1も健在ですよ。出番は少なくなってますが。以前のエントリーでも書きましたがこのイコンのデジタル版がもし実現したならばスンバラシイことですね。まんざら夢の世界のことではないと思うのですが。

投稿: itamura | 2005.11.21 20:06

5日ほど留守にしている間に、目に毒な記事ばかりです。(笑)
シルバーボディも25mmZMもよさそうですね。
25mmZMは狙っています。(キッパリ)

投稿: mimi | 2005.11.24 22:40

>mimiさん
この25mm。一番前評判が高かったことと、手持ちの21、28が飽和ぎみなのでこの25mmにいきました。実は初体験の焦点距離です。外付けファインダーも理由のひとつなんですが・・・。

それにしてもこのレンズ、凄まじいばかりのシャープネスです。今まで私が使ってきたワイドレンズの中でもダントツのシャープネスです。恐ろしいほどの描写です。シルバーボディも美しくて手触りがよく、意外といいですよ。

投稿: itamura | 2005.11.24 23:29

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